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ショート動画は冒頭2秒で決まる|飲食店が惹きつける見せ方

代表取締役 大谷幸輝
大谷 幸輝株式会社ZEN 代表取締役・
和室のテーブルを囲んで飲食店のSNS集客について話す大谷とゲスト2人

飲食店のショート動画は、最初の1カットで勝負が決まります。置くべきものは、お客様がその店に「行く理由」です。看板料理、量、値段の意外さ。そのうち一番強いものを冒頭2秒に絵と一言で出し、本編で答えを見せて納得してもらう。この記事では、名古屋で人気のお出かけ系インスタグラマー、ぴち家さんとやまたびさんとの対談から、最初の1カットに何を置くかに絞って整理します。

対談動画の表紙対談:ぴち家さん・やまたびさんと語る、飲食店のSNS集客YouTubeで見る(大谷幸輝 / RESTAURANT LAB.)

お店に行くには『理由』が要る

動画の作り方の前に、前提を一つ置きます。人は理由がないと、わざわざお店に足を運びません。家の近くに飲食店はいくらでもあります。その中から自分の店を選んでもらうには、「あそこに行けば、あれがある」と思い出してもらえる何かが必要です。

対談のゲストは、名古屋発で全国のお出かけ先を紹介しているぴち家さん(Instagramのフォロワー約42万人・対談時点の本人のお話)と、名古屋の人向けにお出かけ先を紹介しているやまたびさん(Instagramのフォロワー約13万人・対談時点の本人のお話)です。お出かけ先を日々発信している2人が、対談の中で繰り返し挙げたのが、この「行く理由」でした。

「お店に行くときって、何かしら理由が必要だと思うんですよ。」

— ぴち家さん(対談より)

この話を受けて、こちらからは、SNSや広告は掛け算のようなものだとお伝えしました。ほかの店との差が50と60なら、その差にSNSや広告が掛かる、という考え方です。裏返せば、差がなければ掛けても大きくはなりません。動画の撮り方を工夫する前に、まず「うちの店は何で選ばれるのか」を言葉にしておく必要があります。

ここが決まっていないと、動画は「店の雰囲気をなんとなく伝えるもの」になりがちです。きれいに撮れていても、見た人の頭に何も残りません。逆に、行く理由が1つはっきりしている店は、撮る側も迷いません。ぴち家さんも、発信者として店の魅力を掘り起こすけれど、お店自身がそういうものを1つ持っていてくれるとPRしやすい、と話していました。

最初の1カットに、行きたくなる理由を置く

最初のカットに置くものについて話すぴち家さん
最初のカットに置くものについて話すぴち家さん

行く理由が決まったら、それを動画のどこに置くか。答えは、いちばん最初です。ぴち家さんは、動画を作るときに気をつけていることとして、こう話しています。

「その飲食店の中で…フォロワーさんから見て…『これ行きたい』っていうもの…そのビジュアルと、あとワードとかも含めたインパクトっていうのを第一カットになるべく発信できるか。」

— ぴち家さん(対談より)

ポイントは「ビジュアル」と「ワード」の両方を挙げていることです。料理の絵だけでは、何がすごいのかが伝わらないことがあります。逆に文字だけでは、おいしそうに見えません。絵で目を止め、一言で意味を伝える。この2つがそろって、初めて最初の1カットが働きます。

自店で撮った動画によくあるのが「外観→入口→席→メニュー→料理」という、来店の順番どおりの構成です。実際にお店に入るときの流れとしては自然ですが、ショート動画ではこれが裏目に出ます。いちばん見せたい料理が出てくる前に、指で次の動画へ流されてしまうからです。

順番を逆にしてください。いちばん強い場面を最初に置き、外観や場所は最後に回します。見た人が「これ何?」「どこ?」と思った時点で、続きを見る理由ができます。

冒頭2秒で止まってもらうためのギャップ

ショート動画の冒頭について話すやまたびさん
「冒頭2秒が大事」と話すやまたびさん

やまたびさんは、さらに時間を区切って話してくれました。

「ショート動画ってやっぱ冒頭2秒が大事って言うんですけど、本当それがほぼ、割合としては7割ぐらい占めるのかなと思って。そこで引きがないと見られないし。」

— やまたびさん(対談より)

「7割」は、やまたびさん個人の実感としての数字です。測ったものではありません。ただ、お出かけ先を日々発信している人が、動画全体のうち冒頭にそれだけの重みを感じている、という話は参考になります。少なくとも、撮影や編集の時間を均等に配るより、冒頭にいちばん手をかけるほうが理にかなっています。

では、冒頭2秒で何をすれば止まってもらえるのか。やまたびさんが挙げたのが「ギャップ」です。見た人が予想していたことと、画面に映っているものがずれていると、人は「どういうこと?」と気になります。その引っかかりが、指を止めます。

そして、その引きの元になるのは、結局お店の魅力だとやまたびさんは続けます。その引きは、お店のサービスが常に持っているものだ、という話でした。つまり、引きは編集の小技で作るものではなく、発信者はお店がもともと持っている魅力を見つけて冒頭に置いている、と言えます。

飲食店で作りやすいギャップには、たとえば次のようなものがあります。

見た人の予想
  • この値段なら、このくらいの量だろう
  • 街なかの普通の店構え
  • 定番のメニュー
画面で見せる意外さ
  • 値段のわりに、器からあふれる量
  • 入ると想像と違う空間や景色
  • 定番に一手間加えた、ここにしかない一品

大事なのは、ギャップの中身が本当にその店の強みであることです。動画のためだけに作った演出は、来店したお客様をがっかりさせます。強みを見つけ、それが一番驚かれる角度から見せる。ギャップとは、その角度のことです。

『3800円なのに、この量?』を動画で回収する

やまたびさんが具体例として挙げたのが、対談の前日に一緒に行った徳島の海鮮のお店でした。

「3800円、高いなって僕は思ったんですよ。だけど実際に来てみたら、これで3800円の量なの?みたいな。」

— やまたびさん(対談より)

最初に値段だけを聞くと「高い」と感じる。ところが料理が出てきた瞬間に「この量でその値段なの?」とひっくり返る。やまたびさんはこれを「逆詐欺みたいな感じ」と表現していました。期待を下回るのが詐欺なら、期待を上回るのが逆詐欺、というわけです。

「視聴者が気になると思うんですよね。どういうこと?みたいな。で、それをその動画で回収していく。」

— やまたびさん(対談より)

この流れを、店主の方が自分で動画を作るときの手順に直すと、次のようになります。

店の『行く理由』を1つ決める看板商品、量、値段の意外さなど、ほかの店と比べて選ばれる点を1つに絞ります。
冒頭2秒に、その絵と一言を置くたとえば料理のアップに「3800円なのに?」と一言。説明は入れません。
見た人に『どういうこと?』と思わせる答えをすぐに言わず、疑問を持たせたまま次の場面へ進めます。
本編で答えを見せて回収する料理の量、中身、食べている様子で「なるほど」と納得してもらいます。
最後に店名・場所・予約先見終わった人が、すぐに調べて予約できる情報で締めます。

この型の良いところは、冒頭で立てた問いに本編が答えるので、最後まで見てもらいやすいことです。もう一つは、実物が言葉を上回っている限り、来店したお客様の満足につながることです。やまたびさんは食事をしながら「これは伸びるだろう」と感じたそうで、大谷が連れて行った人たちも、みんなおいしいと言ってくれる店です。引きが強いだけでなく、来てからの満足があるから口コミも回る。動画はその入口を作る役目です。

反対に、冒頭で期待をあおっておいて本編が追いつかない動画は、一時的に見られても、来店後の評価で返ってきます。回収できない問いは立てない。これだけは守ってください。

自店の「行く理由」は、伝わっているか

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失敗したくない店ほど、動画が効く

失敗したくない店ほど動画が向いていると話す大谷
「めちゃくちゃ動画が向いてると思う」と話す大谷

最後に、どんな店ほど冒頭の作り込みが効くのか。対談ではこちらから、日頃から考えていることをお話ししました。

1,000円や1,500円の日常のランチなら、多少外れても「また来週、違う店に行こう」で済みます。ところが、誰かを連れて行く店は違います。一人2,000〜3,000円の定食屋、観光で立ち寄る店、焼肉店、20〜30人を連れて行く宴会の店。こうした店は、選ぶ側に「ここで失敗したくない」という気持ちが強く働きます。

「失敗したくないなっていう思いが強いところって、めちゃくちゃ動画が向いてると思うんですよね。」

— 大谷(対談より)

比べて選ばれる場面で、動画で中身がしっかり見られていて、いろんな人の反応もいい。そうなると、選ぶ側は「ここなら大丈夫だろう」「自分も行ってみたい」と感じます。値段が上がるほど、人数が増えるほど、行く前に確かめたいことが増えるので、冒頭で「何がすごい店か」が伝わる動画の価値は上がります。

ぴち家さんは、この話をさらに広げてくれました。

「動画で見たときにインパクトがあるとか、バズってるっていうのを見ると、そこに行くこと自体が目的になる。」

— ぴち家さん(対談より)

「徳島に来て、どこに行こうか」ではなく、「ここに行きたいから徳島に行く」。強い1カットを持つ店は、旅の目的地にさえなれる、という話です。徳島の店にとっては、県外のお客様に選ばれる道でもあります。

徳島グルメでも、掲載動画を作るときはまず「この店は何で選ばれるのか」から考えています。掲載動画の再生は、Instagramで1本平均 約16.6万回(掲載動画243本・2026年10月4日時点)、TikTokで1本平均 約8.9万回(285本・2026年9月23日時点)です。ただし、再生された動画がそのまま来店になるわけではなく、動画を見た人が予約までたどり着ける導線を整えて初めて、売上につながります。見られた後の設計については、飲食店のショート動画集客|作った後に『見られて来店する』までの設計にまとめています。

自店で動画を作るのが難しいときは、ZENの飲食店集客支援(月額5万円〜・税抜・12か月契約)もあります。撮影、ショート動画制作、SNS発信、Meta広告の運用、広告配信費、予約導線の整備、毎月の振り返りを含みます。効果は保証できず、店によって差があります。

よくある質問

Q. 飲食店のショート動画の最初の1カットには、何を映せばいいですか。
A. お客様がその店に行く理由になるものです。看板料理、驚くほどの量、値段の意外さなど、ほかの店と比べて選ばれる点を1つに絞り、その絵と短い言葉を一緒に冒頭へ置きます。店の外観や入店シーンから始めるより、来る理由を先に見せたほうが止まってもらいやすくなります。
Q. 冒頭2秒が大事というのは本当ですか。
A. ショート動画は、指で次々に流されていく前提で見られます。最初の一瞬で興味を持ってもらえなければ、そのあとの映像は見られません。対談では、動画の出来のうち冒頭が7割ほどを占めるという発信者の実感も語られました。数字は個人の感覚ですが、冒頭に一番時間をかける価値はあります。
Q. ギャップで引きつけると、釣りっぽく見えませんか。
A. 本編で答えをきちんと見せれば、釣りにはなりません。たとえば『3800円なのに?』と冒頭で疑問を持たせたら、本編で料理の量や中身を見せて納得してもらいます。実物が言葉を上回る、いわば逆の意味での驚きを作るのが理想です。実物が追いつかない誇張は、来店後の評価を下げるので避けてください。
Q. どんな飲食店でもショート動画は効きますか。
A. とくに相性がよいのは、お客様が失敗したくないと感じる店です。一人2,000〜3,000円の定食屋、焼肉店、観光で立ち寄る店、大人数の宴会で使う店などは、行く前に比べて選ばれるため、動画で中身が伝わっていることが決め手になりやすいです。ただし効果の大きさは店によって違い、保証はできません。

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代表取締役 大谷幸輝
この記事を書いた人大谷 幸輝(株式会社ZEN 代表取締役)

徳島で飲食店メディア「徳島グルメ」(SNS総フォロワー100,589人)を運営し、これまで487店を紹介してきました。撮影・ショート動画・広告まで、飲食店の集客を現場で支援しています。